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今日は、あの有名なジャヤヴァルマン7世について話そう。 |
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ジャヤヴァルマン7世は、クメール王朝に空前の繁栄をもたらして、アンコールトムを始め多くの仏教寺院を建築した「建寺王」とも呼ばれた偉大な王ね。 |
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その通り。「ふうみん」はジャヤヴァルマン7世についてではなく、彼の「石像の謎」について考えてみたいんだ。
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ジャヤヴァルマン7世像の謎~か?興味あるわね。
ジャヤヴァルマン7世の坐像といえば、ピマーイの国立博物館にあったし、そのレプリカがピマーイ遺跡に安置されていたわね。それと、横浜で開催された大アンコールワット展でプノンペン国立博物館の頭部像が展示されていたわね。 |
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先日「yayo」も知っての通り、「ふうみん」が古本屋でクメール遺跡の載った豪華な美術本を手に入れて、喜んで帰ってきただろう。 |
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探していたクメール遺跡の立派な写真集が、とても安かったって喜んでいたわね。 |
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本の題名は「ギメ東洋美術館」といって、講談社が出版した世界の美術館シリーズの24巻の14巻目で、1968年の発行で定価は2400円もしたんだ。今の貨幣価値に直すと2万円ぐらいかな。
その本の中にジャヤヴァルマン7世の「頭部の像」の写真が載っていたんだ。 |
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確かに、「yayo」が見ても40年も前の本とは思えない位、綺麗に保存されていたわね。
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その、ジャヤヴァルマン7世の頭部像の解説文を読んでいたら、ジャヤヴァルマン7世の像は、二つの坐像と二つの頭部像の計4点しか現存していないんだ。
坐像はプノンペンの国立博物館とバンコクの国立博物館(これが1992年に新築された現在のピマーイ国立博物館に移されたと考える)の二ヶ所。頭部像はプノンペンの国立博物館とこの本のフランスのパリにあるギメ東洋美術館の二ヶ所なんだ。 |
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ふ~ん。全部で4点しか残っていないのね。それの何処が謎なの?
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まずは、下のピマーイ国立博物館とプノンペン国立博物館の坐像の2枚の写真をよく見比べてごらん。
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見た瞬間、2枚の写真は同じ坐像に見えたわ。よ~く見ると左の肩とひざの破損した断面が違うので像の違いが分ったわ!
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ジャヤヴァルマン7世坐像
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| ピマーイ国立博物館蔵 |
プノンペン国立博物館蔵 |
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そうだろう!「ふうみん」も初めてプノンペンの国立博物館のジャヤヴァルマン7世像の写真を見たときに、一瞬、坐像がピマーイからプノンペンに移されと思ったんだ。
そして考えた。なんで同じように両手が肩の付け根からか破損しているのだろうか?2点の像はなんと数百キロも離れた場所に在るのに、これは、ただの偶然だろうか?それとも意図的なのか?
そして、瓜二つのように胴体から切り取られ、プノンペンとパリにある王の頭部の像。しかもその王は、クメール王朝の最も偉大な王のジャヤヴァルマン7世なんだ。……これは、すごい謎だとは思わないかい! |
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偶然の一致にしては不自然ね。誰かが意図的に像を破損したとしか思えないわ。そして、その謎は解けたの?
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いやいや、事はそんな簡単ではないよ!まず、一般的に石像の損壊にはいくつかの理由があるんだ。
石像の構造上の問題で手が無いのは、腕や手はそのもの重さにより肩の部分から破損し、頭部はそれ自体の重さに耐えかねて、少しの力を加えるだけで落下すると云うのだが、この件については「ふうみん」は何か納得出来ない。 |
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「yayo」もそう思うわ。それで、他に考えられることは? |
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その他には、石像に宝石や黄金が埋め込まれているという言い伝えがあり、そのために取り出そうと破壊された。
頭部については、石像から切り取って売買された。と云うんだが、頭部についてはそうかも知れないが、宝石を採り出すのだったら、像そのものすべてを破壊すると思うんだ。腕や手だけ破壊するとはどう考えても納得がいかないんだ。
「ふうみん」はジャヤヴァルマン7世の像も誰かが、明確な理由で意図的に破損した。それも、もちろんジャヤヴァルマン7世と承知の上で破損したと考えるんだ。しかし、そうすると謎はますます歴史の迷宮に入り込んでいくんだ。
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そう考えた方がとても面白いし、また歴史のロマンがあるわね。 |
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現時点で考えられるのは、2代後の王のジャヤヴァルマン8世ではないか?と思うんだ! |
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ジャヤヴァルマン8世が像の破壊の犯人とすると…その根拠となる理由は何なの? |
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その理由はジャヤヴァルマン7世は大乗仏教徒だった。しかし、ジャヤヴァルマン8世はその大乗仏教を否定して、ヒンドゥー教再興運動を展開した中で多数の仏像を破壊した。そして、自分の絶対的な王権を確立する為に大乗仏教徒で観世音菩薩と一体となった、ジャヤヴァルマン7世像を破損したと考えるんだ。 |
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そういえばアンコールにあるジャヤヴァルマン7世の建立したタプロームやプリアカンの仏像が削り取られていたわね。
それにしても、プノンペン国立博物館のジャヤヴァルマン7世の像のお顔は、仏様みたいに穏やかでそれでいて王の威厳がある素晴らしい像ね。クメール彫刻の最高傑作と言えるわね。 |
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「ふうみん」もそう思うね。それから、この「ギメ東洋美術館」の本の序文の裏に、アンドレ・マルロー文化相に対しての感謝の意が書かれているが、このマルローはバンテイアイスレイの「東洋のモナリザ」と呼ばれる女神像を盗掘し逮捕されている。後になって「王道」という小説を著したがね。「ふうみん」はこの感謝文については、なにか…すごく皮肉に思えるね。
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すごく皮肉という事は、ジャヤヴァルマン7世の頭部像をはじめとするクメール美術の至宝が、何故カンボジアから遥か遠く離れた、フランスのパリのギメ美術館に在るかという事ね・・・ |
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| ジャヤヴァルマン7世頭部像 |
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| ギメ東洋美術館蔵 |
プノンペン国立博物館蔵 |
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