クメールの神々 INDEX HOME



■ ヒンドゥー教の三大神


■ヒンドゥー教の三大神について

ヒンドゥー教の三大神は、ブラフマー(創造を司る神・Brahma)、ヴィシュヌ(維持を任される神・Visnu)、シヴァ(破壊を担う神・Siva)で、この三神は究極的には同じものであり、トリムールティ(三神一体・Trinity )と云う言葉で定義されている。

この三神一体の真言をオーム(AUM)といい、Aがヴィシュヌ、Uがシヴァ、Mがブラフマーで、3音融合して三体結合を示し、創造、維持、破壊を一音に含むと言う。あの、オウム真理教のオウムの語源である。

「ふうみん」の知る限り、クメール遺跡でこの三大神が彫られている遺跡はほとんど無い。下記の写真は、ラオスのワットプー本殿の北側にある岩に彫られたヒンドゥー教の三大神で、向って左から、ブラフマー、シヴァ、ヴィシュヌ神。シヴァ神が中央の最高位にある。と、云う事は、この浮き彫りはシヴァ派が作成したのだろう。

このように、本来、究極の創造神で中央の最高位にあるべきブラフマー神は刺身のつまで、ヒンドゥー教はシヴァ、ヴィシュヌの両神の二派に大別されている。

Wat Phou

Champasak Provincial Historic Museum の三大神。左からハンサに乗るブラフマー神、
中央はナンディンに乗るシヴァ神と妻のウマー、右はガルーダに乗るヴィシュヌ神。




Cambodia National Museum 大アンコールワット展より
■シヴァ派の宇宙創世神話

このヒンドゥー教の三大神座像は一個の大きな石材に丸彫りされたもので、シヴァ神のサンポットの中にブラフマー神とヴィシュヌ神が描き出されており、シヴァ神が中央の最高位にある。

ヒンドゥー教の宇宙の創世神話にシヴァ神がリンガから出現し、こう言い放った。
ブラフマーはわたしの右腰から、ヴィシュヌはわたしの左の腰から生じたもの。遥か太古には同一の神であったのが、三神に分かれたのである。
この話は勿論のことシヴァ派の創世神話である。



■ヴィシュヌ派の宇宙創世神話

ヴィシュヌ派の創世神話によると、
宇宙のすべては闇に包まれており、混沌だけが支配していた。ヴィシュヌは1000の頭を持つ竜王アナンタ(Ananta)の上で眠っていた。どれだけ時間がたったろうか。やがて、ヴィシュヌのへそから一本の清らかな蓮の茎が伸びて花を結んだ。そこから創造神ブラフマーが生まれ、ブラフマーの額から破壊神シヴァが生まれた。このようにして、偉大な大宇宙の創造が始まったのである。
下記の写真はコンケーンのクープアノイ遺跡のヴィシュヌ派の宇宙創世神話のまぐさ石。

Ku Puay Noi



■主な神々のレリーフ

上述のように、三大神をはじめ複数の神々が彫られている遺跡は少ない。下記の写真はスリンのシーコラプーム(Prasart Sri Khora Phum)遺跡のまぐさ石。

・中央には10本の腕を持つ踊るシヴァ神。
・左下から、人の頭を串刺しにして手に持つシヴァ神の妻のドゥルーガ神。
・4本の腕を持つヴィシュヌ神。
・4面の顔と4本の腕を持つブラフマー神。
・象頭と4本の腕を持つシヴァ神の子供ガネーシャ神。

中央のシヴァ神が、本来ブラフマー神の乗物である聖鳥ハンサに何故乗っているのか?と、云う意味が分らないが、妻のドゥルーガ神と子供ガネーシャ神を三大神と一緒に彫られているところから、シーコラプームはシヴァ派の神殿なのだろう。

Prasart Sri Khora Phum



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