クメール遺跡の紹介 (カンボジア) INDEX HOME
15 Sambor Prei Kuk

年代:  7世紀前半
創建者: イーシャーナヴァルマン1世
宗教:  ヒンドゥー教



2007/10

オークルケー川の橋の手前に、ツーリストオフィスがある。

橋を渡り、1キロほど行った所の駐車場にCRVを停める。

サンボールプレイクックは「豊かな森」を意味すると言う。



ガイドからもらったサンボールプレイクックの地図。遺跡は北・南・中央と分けられる。サンボールプレイクックという遺跡の名は20世紀に付けられた名前で、この都市は当時イーシャーナプラ(伊奢那城)と呼ばれていたと言う。


駐車場から近いN群(北遺跡)から見学する。

カンボジア人の子供の売り子がたくさん纏わり着いて来る。他に見物客が居ないので仕方がないか。

レンガ造りの祠堂は、
イーシャーナヴァルマン1世により7世紀に建造された。


駐車場から入ったN群の祠堂に女神ドゥルガーの彫像がある。この像は2006年、コピーが祠堂内に安置された。

本物はプノンペンにある国立博物館に収蔵されている。

ドゥルガーとは、シヴァ神の配偶神のひとりでインドでは凶暴な女神とされ、内臓を口に銜えて水牛を踏みつけて血まみれになった恐ろしい姿をしているが、カンボジアでは温和な女神として崇められている。

体をくねらせているのは怒りを表しているというが、「ふうみん」には優雅な曲線に思える。

祠堂の中にはヨニとリンガが安置され、シヴァ神が祀られていた。

この辺りを見学中にGHのマネージャーが、ガイドを同行して来た。

ガイドから、地図(上記の地図)をもらう。


N群の煉瓦造りの祠堂。


空中宮殿(フライングパレス)のレリーフが施されている。

状態は良くない。


祠堂内の巨大なヨニ?台座?


破風は迫り出し構造なのか?


まぐさ石


祠堂内の煉瓦の壁。上部から差し込む光が神秘的だ。


つい最近崩れ落ちた祠堂。


南遺跡(S群)の八角形祠堂。

8面に空中宮殿(フライングパレス)のレリーフが施されている。


空中宮殿(フライングパレス)。

サンボールプレイクックの幾つかの煉瓦造りの祠堂には、「空中宮殿」の彫刻によって壁面が飾られている。

宮殿の一番下では、羽のついた人や馬などが宮殿を支えて様に見える。

宮殿の中央には印を結んだ人物が上半身を覗かせている。

彫刻の一部には、漆喰の跡や彩色の跡があり、建設当時は外壁に漆喰が塗られ、彩色されていたのだろう。


南遺跡の碑文の中には、627年にこの寺院が建造された事が記されている。

イーシャーナヴァルマン一世の治世期の寺院である事の根拠となっている。


八角形祠堂の内部に入ると、穴の空いた天井からの光が神秘的に差し込んできた。



サンボールプレイクック様式のまぐさ石。残念ながら近年、人物像の顔が欠き取られてしまったと言う。



まぐさ石の左右にはマカラがおり、マカラの口からは植物紋のアーチに吐き出している。しかし、左右のマカラは人為的に欠き取られている。


女性(女神?)像のレリーフ。

人物像はクメール人とは異なり、インドかもっと西方のヘレニズム文化の影響を感じさせる。


円形装飾メダイヨンが第2周壁西側の内外の壁を飾っている。

円形の枠の中に描かれた図像は、未だに謎だと言う。

この壁の近くにベトナム戦争時のアメリカ軍の空爆の跡があり、壁画の損傷の一つの原因と思う。


中央遺跡(C群)のプラサットタオは、9世紀にジャヤヴァルマン2世がこの地を平定した際に建立された。

この獅子像は、後世のアンコール遺跡の獅子像に比べ素朴で力強い。それにタテガミが立派だ。


見た瞬間、ガイドに「オリジナル?」と問いかけた。

ガイドの返事は、もちろん「オリジナル!」だ。

まぐさ石、円柱がほぼ完璧に残っている。偽扉が一見コンクリート製(砂岩製)に見えたので、複製されたものに見えてしまった。



人物や動物像がない為に面白みはないが、素晴らしいレリーフだ。このまぐさ石を見ながら、先程の盗掘されたまぐさ石に比べて人物や動物像がない為に盗掘を免れたと思った。


バライ。


まぐさ石。


台座?


北遺跡に戻り、サンボールプレイクック唯一の砂岩の箱型の祠堂(Nー17)を見る。

大きな傷跡はベトナム戦争時のアメリカ軍の空爆ためだ。

歴史のない野蛮なアメリカ人のしたこの事は、日本に対して行なった行為と同じだ。

サンボールプレイクックと法隆寺の創建とは、ほぼ同じ時代だ。古い歴史を共有する民族として、怒りがこみ上げる。


砂岩の箱型の祠堂(Nー17)に彫られたカーラのレリーフ。

また、屋根の部分の側面(上記写真)には、アーリア系の人物が彫られている。


レリーフ。


今やとても有名な、サンボールプレイクックの象徴的な樹木に取り込まれた祠堂(Nー18)。


この祠堂(Nー18)は、このまま朽ちて、土に返って行くのだろうか?


サンボールプレイクックを親切に案内してくれたガイドさん。

心ばかりのチップを渡す。
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